糖尿病の新薬情報−経口剤編
最終更新日  Uc Diabetic Clinicトップ・フレーム表示に戻ります
H11年8月以降新規に発売された経口抗糖尿病剤です。
各薬剤の詳しい作用動態と使い分けは、「経口糖尿病薬の作用動態」も併せてご覧下さい

INDEX 分 類 一般名 販売名
H18年1月 αグルコシダーゼ阻害剤 ミグリトール セイブル錠25mg・50mg・75mg
H16年5月 速効型インスリン分泌促進剤 ミチグリニド グルファスト錠5mg・10mg
H12年4月 スルフォニル尿素剤 グリメピリド アマリール錠1mg・3mg
H11年12月 チアゾリジン系インスリン感受性改善剤 ピオグリタゾン アクトス錠15mg・30mg
H11年8月 速効型インスリン分泌促進剤 ナテグリニド スターシス錠30mg・90mg
ファスティック錠30mg・90mg

H18.1 ミグリトール製剤について
■ ミグリトールの作用と適応
作 用 ミグリトールは、小腸上部粘膜上皮細胞刷子縁に存在する二糖類水解酵素(αグルコシダーゼ)を競合的に阻害することで糖質の消化・吸収を遅延させ、食後血糖を抑制します。特に、食後30分〜1時間の血糖抑制にすぐれています。
既存のα-GI製剤では、未消化の糖質が下部消化管へ流入することで腹部膨満・放屁などの副作用が見られますが、ミグリトールは小腸上部で吸収されるため小腸下部から大腸での薬物量が減り、その結果腹部膨満などの副作用が少ないとされています。
適 応 食後過血糖の見られる2型糖尿病
SU剤で食後過血糖が抑えられない症例でSU剤と併用
用 法 1回50mg、1日3回毎食直前、効果不十分:1回75mgまで
■ ミグリトール使用上の注意
注 意 食事の直前に内服する必要があります:10分以内
腹部膨満・鼓腸・下痢などの消化器症状が現れることがある
類薬(アカルボース・ボグリボース)で腸閉塞様症状・重篤な肝機能障害の報告
併用注意 SU剤やインスリンと本剤併用時の低血糖に対してはショ糖ではなくブドウ糖を投与する
INDEX
H16.5 ミチグリニド製剤について
■ ミチグリニドの作用と適応
作 用 ベンジルコハク酸誘導体であるミチグリニドは、ナテグリニドと同様、膵SU受容体に結合してインスリン分泌を促進する、速効・短時間型のインスリン分泌促進剤です
適 応 食後のインスリン追加分泌が低下し、食後血糖が上昇している軽症糖尿病
用 法 1回10mg、1日3回毎食直前
■ ミチグリニド使用上の注意
注 意 食事の直前に内服する必要があります:5分以内
食前30分では、速やかなインスリン分泌のため低血糖を起こすおそれがあります
食後の服用では速やかに吸収されないため食後血糖の上昇を抑えることはできません
併用注意 他の抗糖尿病薬・サリチル酸製剤・クロフィブラート・サルファ剤とで作用増強
INDEX
H12.4 グリメピリド製剤について
■ グリメピリドの作用と適応
作 用 グリメピリドは膵β細胞からのインスリン分泌を促進するスルフォニル尿素剤で、血糖降下作用はグリベンクラミド並みに強力ですが、インスリンの分泌促進作用はあまり強くありません
末梢でのブドウ糖取り込みや肝臓での糖産生を抑制するという膵外作用を併せ持っています
既存のスルフォニル尿素剤より体重増加を来しにくいとされています
適 応 2型糖尿病全般(既存のスルフォニル尿素剤で効果不十分、高インスリン血症など)
用 法 1mgから開始、1日1〜2回、朝または朝夕の食前または食後、維持量1日1〜4mg、最高1日6mg
■ グリメピリド使用上の注意
注 意 低血糖
併用注意
INDEX
H11.12 ピオグリタゾン製剤について
■ ピオグリタゾンの作用と適応
作 用 チアゾリジン系のインスリンの感受性を改善剤で末梢でのブドウ糖取り込みの促進、肝臓での糖産生抑制により血糖を低下させます
発売中止となった類薬トログリタゾンに比べ重篤な肝障害を来すことは少ないとされています
適 応 肥満型、高インスリン血症がありインスリン抵抗性が強い
用 法 1回15〜30mg、1日1回朝食前または朝食後、最高1回45mg
■ ピオグリタゾン使用上の注意
注 意 浮腫、貧血を来すことがある
特に急激な水分貯留で心不全を発症・増悪させることがあり、心不全患者への投与は禁忌です
類薬(トログリタゾン)で重篤な肝障害
併用注意
INDEX
H11.8 ナテグリニド製剤について
■ ナテグリニドの作用と適応
作 用 ナテグリニドはアミノ酸誘導体からなる、速効・短時間型のインスリン分泌促進剤です。インスリン分泌を促進する薬には他にスルフォニル尿素剤があり、糖尿病の治療に広く使われています
ナテグリニド製剤もスルフォニル尿素剤も、膵β細胞のスルフォニル尿素受容体に結合してインスリン分泌を促進します。作用する部位は同じですが、ナテグリニド製剤の方が速やかに吸収され血中半減期もかなり短くなっています。投与後1時間をピークとする早期インスリン分泌がおこり、2時間で元に戻ります。そのため食事の直前に服用すると速やかにインスリンが分泌され食後血糖の上昇を抑えることができます。
インスリンが遅延過剰分泌を示し肥満を来しやすいような軽症糖尿病では、速やかなインスリン分泌により遷延する血糖上昇とそれによる過剰なインスリン分泌が抑えられる可能性も指摘されています
適 応 食後のインスリン追加分泌が低下し、食後血糖が上昇している軽症糖尿病
用 法 通常1回90mgを1日3回毎食直前、効果不十分:1回120mgまで
■ ナテグリニド使用上の注意
注 意 食事の直前に内服する必要があります:10分以内
食前30分では、速やかなインスリン分泌のため低血糖を起こすおそれがあります
食後の服用では速やかに吸収されないため食後血糖の上昇を抑えることはできません
併用注意 トログリタゾン(ノスカール:発売中止)・エパルレスタット(キネダック)との併用で血中濃度が上昇
INDEX


DM Top Page Top
Uc糖尿病トップページのフレーム表示に戻ります 当サイトはフレーム表示されていないと、リンク先が正常に表示されません。
フレーム表示されていない時は、左のアイコンでUc糖尿病トップページに戻ってください。
Copyright 2004 Uemura Naika Clinic(U-san),All rights reserved.