第4回 天体界道100kmにちなんおろちマラソン完走記
2004年6月20日

眺めは素晴らしい(中間点付近)

夜になればホタルが舞う
■ 天体界道100kmにちなんおろちマラソン
 2003年6月のサロマ湖で始まったウルトラマラソン挑戦から1年になる。1年目の締めに、天体界道にちなんおろちマラソンにエントリーした。鳥取県の山の中、日南町で開催されるこの大会は、100km完走者に抽選で別荘地が当たるというのが人気で、それにつられてエントリーした。
 日南町の面積は広大で実に鳥取県の10分の1を占め、単独町で一周100kmのコースが取れるというのが町の人の自慢である。コースは山の中を走るため最大高低差900mとかなり厳しく、パンフレットにも「この地に伝わる、八岐の大蛇(やまたのおろち)も斯くありなんと、のたうつ如く峻険で、この道天体のまさに界道」と書かれている。
 中国山地の過疎の町、それだけに地元のもてなしや応援には力が入る。炎天下、山の中でも応援が途切れることはなく、その応援に元気づけられ、ゴールを目指した。
天体界道にちなんおろちマラソンの案内や記録集は日南町WebSiteへ
■ 平成16年6月19日 台風6号接近
 仕事を終え、JR黒崎駅へ。ところが信号機故障で鹿児島線が不通、慌ててタクシーに飛び乗り、小倉駅に急いだ。無事のぞみ22号に間にあったが、初っぱなからアクシデント、嫌な予感がする。岡山から伯備線のやくも19号に乗車。新見を過ぎた頃から雨が降り出した。17:56生山到着。下りた乗客は3人だけで、ランナーは自分だけだった。
 民泊先の名和川さんと改札口で会い、役場に行って受付を済ませた。役場から100kmコースを経由して名和川さん宅へ向かう。名和川さん宅の玄関前に名前が書かれた3人分の幟が立ててあった。19時頃から夕食。江の川のアユ、自宅で栽培している超肉厚シイタケなどの煮付け、香茸など、量も質も言うことなし。お酒の好きな名和川さんにつられてビール・日本酒をだいぶ飲んだ。夕食後外に出た。雨は止んでいたが風が強く、それでも何匹かホタルを見つけた。

無事に生山駅に到着

右が民泊先のご主人・名和川さん
左が高月さん、右隣が白岩さん
■ 平成16年6月20日 台風はどこへ・・・第4回天体界道100kmにちなんおろちマラソン
スタート前
 AM3時過ぎに目が覚めた。アルコールが残っている感じがする。朝食を済ませ、タガメット・ノイエルを飲んだ。風は思っていたほど強くなく、霧雨程度でちょっと蒸し暑い。雨を予想して、前半はランシャツ・ハーフタイツ、降り出した時のためにレインジャケットをウェストポーチに入れた。靴はGEL-KAYANO。玄関先で各自応援の幟を手に記念撮影し、名和川さんの車で会場に向かった。

玄関前で幟を手に記念撮影
 会場に着き、荷物預け場所で藤本さん、Y子さん、坂本明子さん、礒本さん等に会った。小雨の降る中、スタート地点へ移動。数人のUMMLerを見つけ、また楽松師匠・渡辺先生らと記念撮影するなど、スタート前はかなりリラックスしていた。
スタート前の記念撮影

Y子さん、礒本さん、ふじもっちゃん

楽松師匠・渡辺先生と
AM5:00 スタート
 AM5時レースがスタート。みんな快調に飛ばしていくが、どうも自分だけは体が重い。蒸し暑さのせいか、それとも昨日飲み過ぎた影響か。5km27分台だったが、かなり無理しているように感じていた。14km付近で早くもトイレに駆け込む。吐き気がして水も飲めない。辛いレースになりそうだ。序盤はどちらかというと田園地帯、集落間にちょっとした山越えがあるが、中盤以降に比べたら楽なはずで、こんなところで苦しんでいたら完走はおぼつかない。何とか20kmまでは持ちこたえ、1:52で通過したが、徐々にスピードが落ちてきた。
沿道の応援風景1

沿道の力強い応援、左は100kmリレーの小学生

走るかかし、ちゃんと動きます
のどかな田園風景

10km付近
20km 1:52:29
 25km過ぎ、100kmリレーの小学生に抜かれた。約90人で100kmを走るらしいが、元気がいいなぁ。26km大宮集会場で再びトイレ。タガメット・ガナトンを飲んだが、吐き気が治まらず、紙コップ一杯の水を飲むのがやっとだった。期待していた雨は全く降らず、暑くなってきたので、スポンジをもらい手に持って走った。名和川さん宅前にあった幟の写真を撮り、名和川さんに挨拶して通過。20km以降10km毎のラップタイムは1:20前後と、大きくペースダウンした。
エイドステーション

今日一番の楽しみはスポンジ

頭から水をかぶるのも給水ポイントでの楽しみ
30km 3:09:41 (Lap 1:17:12)
 台風はどこへ?いつの間にかカンカン照りとなり、2.5km毎の給水ポイントで頭から水をかぶるのが楽しみになった。それにしても暑い、早くも30km過ぎからラン200歩とウォーク100歩のコンビネーションに切り替えてしまった。序盤からこの調子で残り70kmの山道を走りきることができるのだろうか。それにしても暑い中、沿道の応援には頭が下がる。町中総出、名簿を見ながら名前を呼んで声をかけてくれる。
 36.5km下阿毘縁集会場エイドには海苔巻きが置いてあったが、1個しか食べられなかった。次の給水ポイントで熊避けの鈴をもらう。地元の子供達のメッセージが付いていた。ここから船通山の林道に入る。鈴がうるさいかと思ったが、ゆっくり歩いたり走ったりなので気にならない。ラン&ウォークで林道を上る。熊が出るかもしれないと言う山の中にもちゃんと応援してくれる人がいる。その人たちの前では手を抜けない。40kmは4:45くらいで通過した。
沿道の応援風景2

暑い中、総出で応援してくれます

熊避けの鈴には子供達のメッセージが付いていた
40km 4:44:36 (Lap 1:23:55)
 抜けるような青空、所々に台風の雲、そして木々の緑、給水ポイントで浴びる川の水も冷たくて気持ちがいい。それにしても台風の雲はどこにいったのだろうか。あまりの暑さに、少し雨が降って欲しいですよとつい愚痴をこぼす。林道に入ってゆっくり走っていたせいか、胃の調子は戻りつつあり、走るのも楽になってきた。45km手前でふじもっちゃんとタラさんを見つけた。一気に追い抜き、振り向きざまに写真を撮った。二人とも足の故障だろうか、そうでもなければ追いつくはずがない。その先でようやく楽松師匠に追いついた。この後90kmくらいまでエイドでよく顔を合わせた。下りになると師匠は早い。一緒に走っていても、下りになるとアッという間に姿が見えなくなる。ただ人気者の師匠故、エイドでの休憩が長くなり、その分のロスが結構大きくなるようだった。
 50kmの前後は標高800mを越えるところを走る。天気もよく、素晴らしい眺めで、立ち止まって写真を撮る。しかし正面の山に急な登り坂が見えたりして、うんざりしてくる。50kmを5:54で通過、このペースなら13時間台だろうか。
林道にて

タラさんとふじもっちゃん、のんびり森林浴?
50km 5:54:30 (Lap 1:20:55)
 ラン&ウォークで53.5kmの峠を上り切る。ここから63km、多里小学校までは長い下りとなる。5kmくらいで林道を抜けた。下りが続くので歩かずに走り続けたが、強い日差しで消耗が激しくスピードが上がらない。下りが多かった割りに、ラップタイムは50kmまでと差がなかった。

50km過ぎのコース上にいた八岐の大蛇の分身(?)
60km 7:15:02 (Lap 1:20:32)
 長かった下りが終わり、12時半過ぎに多里小学校に到着。着替えポイントでもあり、多くのランナーがいた。ここで20分ほど休憩、団子汁をいただく。レインジャケットを預けて少し身軽になったが、ウェアは替えなかった。カンカン照りだったので、ランシャツから半袖に着替えておけばよかった。痛み出した足にナパゲルンローションを塗り、新しいスポンジをもらってスタートした。
 70km手前の最高点・標高900mまで長い上りが始まった。標高差は500m。最初はラン200歩&ウォーク100歩で上っていたが、しだいに歩く時間が長くなっていった。途中で楽松師匠に追いつき、しばらく話をしながら一緒に上った。峠まであと500mの展望台にエイドがあった。足にも水をかけ、峠へと向かう。走っていたら左大腿部につるような痛みを感じ、無理せず歩いて上ることにした。峠を越えて走り出す。70kmを9:07で通過、ここまでの10kmは休憩を入れて1:52を要していた。

コース最高点への登り坂、走っているランナーを見かけない
70km 9:07:30 (Lap 1:52:28)
 峠を越えると再び長い下り。最大の難所を越え、ようやく完走が見えてきた。78.5km福栄大橋を渡ったところのエイドでソーメンを食べる。胃の調子も良くなり、ソーメンをおかわりした。80km通過は10:20、この10kmは1:12、13時間が切れるだろうか。
80km 10:20:08 (Lap 1:12:38)
 80kmを過ぎてもアップダウンが続く。上石見駅手前で救急車とすれ違ったが、熱中症で倒れたランナーでもいるのだろうか。上石見駅前のエイドでお汁粉をいただく。しばらくしてぽつぽつと小雨が落ちてきた。待望の雨!と思ったらすぐに止んでしまった。11:44で90kmを通過、完走は間違いないが、この10kmは1:24に落ち、13時間切りを諦めた。
90km 11:44:11 (Lap 1:24:03)
 90kmを過ぎても、95kmを過ぎてもこれでもかこれでもかとアップダウンが続く。給水ポイントでは頭と足に水をかけた。95.6km最後のエイドでソーメンを食べる。残り4kmとなって12:30、13時間切りを狙ってラストスパートした。国道183号線に合流したらゴールは目の前。
100kmゴール 12:56:12 (Lap 1:12:01)
 12時間56分12秒で暑くて苦しく辛かったレースが終わった。ラスト4kmのスパートが効いて、何とか13時間は切れたが、自己ワーストだった。
 ゴール地点には名和川さん宅で一緒だった高月さんがいた。結局3人の中で一番遅かった。45才以上女子は坂本明子さんが4連覇、Y子さんは自己ベストで3位など、ちゃんと結果を出している。暑かったからというのは言い訳にならない。ウルトラ挑戦1年目の締めのレースとしては、反省点が多過ぎた。楽松師匠のゴールを待ち、記念撮影をしてから着替えに行く。
 簡易シャワーで水を浴びてから、表彰式・閉会式会場へ。お土産でもあればと思い探してみたが、会場内には見あたらなかった。名和川さんからいただいた缶ビールを飲み、ふじもっちゃん、タラさん、礒本さん、Y子さん、坂本さん等と話をしながら、お楽しみの抽選会を待つ。予想通りというか、別荘地はもちろん、他に何も当たらなかった。来年また来よう。
ゴール

楽松師匠と完走の記念撮影
天体界道にちなんおろち完走証
■ 平成16年6月20日 台風の影響は大会後も
 閉会式が終わり、会場横のスーパーで缶ビールとつまみ、パンなどを買った。礒本さんに駅まで送ってもらい、20:30生山駅に着いた。蒸し暑い。台風のことが気になったが、駅員はおらず、運行状況はわからなかった。岡山行きの電車は既に止まっていた。2両編成の電車に乗客は3人、うちランナーは2人。20:52発車。缶ビールを開け、焼き鳥などをつまむ。途中でとり正の大将からTel、台風の影響で北九州もかなり暑かったようだ。生山から岡山までは鈍行で2時間以上かかる。ビールを飲んだ後、一眠りした。
 岡山駅手前で接続列車の案内があった。なぜか九州行き夜行の案内が無く、不親切だなと思った。岡山駅で降り、山陽線のホームに向かったが、乗るはずのあかつきが案内板に出ていない。不安になって改札に行くと、そこで初めて台風で運休になったことを知った。諦めて駅前のホテルに泊まり、朝一番の新幹線で帰ることにしたが、明け方暴風域に入れば新幹線も運休?
 この台風によるフェーン現象で日本海側などは軒並み30℃を超え、地元福岡の太宰府では37℃まで上昇し熱中症による死者も出たようだ(後日この大会でもランナーが一人亡くなられたと聞いた)。疲れ切ってシャワーも浴びずにベッドに横になった。体中、特に頸・肩から腕にかけて熱を持ち、エアコンをつけていたら寒くなってきた。その日焼けは日に日に悪化、痛くて寝るのも辛く、ステロイド軟膏など塗りまくって、ようやく1週間くらいで痛みが和らいだ。
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