0：20に宗頭を出発した。3日目も同じリベンジ組の西田さんとお互いに引っ張り合って走ることになった。宗頭出発後、寒さはそれ程感じなかったが、左脚に違和感を感じた。大腿骨の一番上の箇所、大転子か小転子周辺から左脚全体に痛みが走った。今まで傷めたことがない場所で、急に不安になった。それでも藤井酒店までは飛ばした。ほぼ25分でCP6・藤井酒店に到着、西田さんが来るまでお茶を飲む。ここから鎖峠まで、ラン&ウォークで上った。上り坂では多少の痛みは気にならない。鎖峠には1：26に到着した。

　問題はここから三見までの下りだった。眠気よりも痛みでスピードが落ちた。それに対して西田さんは快調に飛ばし、どんどん差が開いた。焦ったが、無理して足の痛みが悪化したら意味がない。R191号を下りきったところからは少しまともに走れるようになった。2：40、CP7・三見駅に到着した。入れ違い、たった一人のクニさんがスタートしていった、というより、クニさんのブログによればせっかく寝ていたのに後から来たランナー（＝我々？）がうるさく、仕方なくスタートした、と言うことになっている。そのクニさんが出発されてから、ベンチで一眠りした。10分ほど寝て、また西田さんと一緒にスタートした。

　仙崎からは西田さん等と2ヶ月前に練習会で走ったばかり、コースは頭に入っているはずだった。しかしコースがわからなくなった。急に見たこともない景色に思え不安になってきた。駅から一番近い踏切は渡らずに右に曲がってあとは一直線、だったはずだが、前後に誰もいない。左の方に踏切が見えてきたのでそちらに行ってみると、違う踏切だった。ようやく最初の河内第一踏切を渡る。その先、坂を上っていくと稲荷大明神の朽ちた鳥居や何年も放置されている廃車を見つけ、ようやく間違っていないことを確信した。ところがその先に人の気配。近付いていくと、エイドがあった。こんな不気味なところにたった一人、思わず怖くないか聞いてしまった。しばらく行くと下り坂。真っ暗闇の畑の中に怪しげなかかしが浮かび上がった。昨年の練習会で初めて見た時は、マジで幽霊と思った。二番目の青長谷第三踏切を渡って海沿いに出た。こんな真夜中、狭い道なのにランナーの横をスピードも落とさずに走る車があって、ムカッと来た。幸い跳ねとばされることもなく、4：10、玉江駅に到着。ここでもまた一眠り、休憩時間は45分にもなってしまった。この間、西田さんは先にスタート。一人取り残されて、AM5時前にスタートした。左足の痛みは相変わらず続いていた。

　萩城まで来ると、140kmのランナーを見かけるようになった。菊ヶ浜から24時間スーパー・キヌヤの方に曲がったが、スーパーには寄らなかった。萩焼会館を過ぎ、道路の反対側を走るランナーには手を挙げて挨拶。初日、一緒に走ったMrサロマやタマゴンさんとも会えたが、2時間以上の差か。越ヶ浜手前でようやく西田さんに追い付き、6時過ぎ、明神池に到着、そこから周回道路の上りは殆ど歩いて6：30、笠山に到着した。

　笠山からは周回道路を下り海沿いの道に出て虎ヶ崎へ向かうが、ほぼ真っ直ぐ笠山から虎ヶ崎へ向かう自然研究路がある。つっちー・江戸川特急さん等とオフィシャルコースを下ったが、気合いの入っている西田さんは自然研究路へ向かい、朝食も摂らずに東光寺へ向かったようで、かなり差が付いてしまった。
　下りでまた脚の痛みが強くなってきた。7：03、虎ヶ崎に到着。一昨年、この時間には既に虎ヶ崎をスタートしていたはず。店に入ると声を掛けられた。その声の方に振り向くと、原万里子さんだった。ビールとカレーを頼み、ロキソニンを飲み、しばらく原さんとおしゃべりした。まっちさんは胃の調子が悪くて食べられないというので、残りのガナトン2錠をあげた。すると2錠とも飲んでしまった。1錠でいいのに、とは言えず、、、何事もなく、食欲が出たと聞いてホッとした。30分ほどで虎ヶ崎をスタートした。今日も天気が良い、暑くなりそうだ。

　スタートして便意を催した。笠山の駐車場の身障者トイレに飛び込む。こんな時に洋式は楽だ。明神池に下ってくるととり正撮影隊がビデオを構えていた。のんびり休みすぎ、遅いと怒られた。でもここまで来れば後は10時間でフルマラソンの距離、いくらか余裕が出てきた。
　R191号に戻ったところで、つっちー等と別れ、西田さんを追った。結構頑張って走ったつもりだが、西田さんには追いつけないまま、8：49、最後のCP10・東光寺に着いた。全部のチェックを確認し、大事にチェックシートをしまう。後は萩往還を越えて瑠璃光寺まで35km、歩き続ければ何とかなるぞ。

　帰りは元来た川沿いではなく、民家の間、玉木文之進旧宅前から松陰神社へ抜ける道を下った。萩市内、220km近く走ってきて、松陰大橋の坂を上るのも辛くなってきた。その先は地下道、しかし階段を避けるため地下道には入らずに道を横切った。御許町を左折、橋本橋を渡り、JRの跨線橋を越える。70kmのランナーとすれ違うようになり、声を掛け合う。名前を呼ばれることも時々あるが、記憶が無くて誰かわからなかったりでごめんなさい。
　跨線橋を渡ってからだった。白い矢印が真っ直ぐ有料道路へと書いてあった。ここは左方向、変電所の方へ行くはずだが。横にいた同じ250kmのランナーとおかしいよねといいながら、矢印には従わず変電所の方へと向かった。その先でようやく西田さんに追い付いた。大屋で小さい橋を渡り、上り坂を歩くようなスピードで上っていく。右手に見える有料道路沿いにもランナーが見えたが、140kmの選手だろうか。涙松を過ぎ、ようやく横ちゃんや千々和さん、浦さん等に会えた。料金所手前の上り坂、ちょっと頑張って走った。上り切ると、リタイヤしたとり正のママがいた。10：10、萩有料道路料金所・萩往還公園エイドに到着。おにぎりをもらう。らっきょうが置いてあり、小野大会会長さんが作られたものだと聞いて、何個かつまんだ。

　いよいよ萩往還である。料金所からのきつい上り、走る元気はなく、早歩きで上った。下りにかかってとり正の大将とすれ違う。
　明木川沿いに出た。日差しが強い。35kmに出ている縞猫さんの奥さんが来た。縞猫さんはかなり遅れているらしい。明木川沿いでは、140kmに出ている吉田さんと一緒に走りながら、ダッチオーブンの話題で盛り上がった。一緒にまじめに走ったおかげで、10：50頃、明木市エイドに着いた。明木饅頭がたくさん用意されており、5-6個頬張った。

　明木をスタートすると一升谷の長い上りが待ち受ける。当然、ラン&ウォーク。西田さんにまた追い付いた。そして縞猫さんがやってきた。ゴールでの再会を誓う。長い長い一升谷、1時間を予定していたが、40分くらいで五文蔵峠の休憩所に着いた。だいぶ汗をかいたので、顔を洗って峠へ向かう。そして峠を下って釿切へ、田圃には水が入れられ田植えの最中だった。

　R262号に上がったところで渕上さんと尾形さんに追い付いた。新茶屋で二人の写真を撮る。この頃になると、だいぶ右か左に傾いたランナーが多くなってくる。釿切から佐々並まで5kmほどだが、練習会でこんな所走ったかな？というような箇所が多い。路面に白矢印が書いてあるので迷うことはなく、12：58、佐々並に到着した。
　そこにはリタイヤした江口さんがいた。暑さのためか、前川さんも西田さんも渕上さんも疲労の色が隠せない。撮ってもらった写真を見ると、自分もその例外ではなかった。元気そうな70kmの野見山さんが羨ましい。佐々並豆腐をいただき、たっぷり水分を補給して13：15頃にスタートした。残り15kmに5時間、2年ぶりの完踏が見えてきた。

　もちろんここからは最後の難所、板堂峠が待ち受ける。ラン&ウォークも長くは続かず、殆ど歩きになった。最初は板橋から中の作への上り、これを下って13：48、首切れ地蔵着。天気が良く、ツツジがきれいだった。そして県道に上がると、いよいよ最後の上りである。時間はたっぷりあるし、暑くもなってきたので、だいぶ歩きが多くなった。14：10、楽しみにしていた草餅エイドに到着。そこには西田さんの奥様がおられた。草餅でパワーを補充、最後の上りへと向かった。

　途中、八重桜がきれいだった。写真を撮り、早歩きで上る。殆ど走らなかったが、何とか板堂峠の手前で原田正美さんに追い付き、14：45、板堂峠に着いた。原田さんといえば、昨年、両手に杖を持って最後、ゴールテープに倒れ込んだシーンが思い出される。その原田さん、今日は杖無しだ。記念撮影して、スタートした。

　板堂峠を越えれば、後は下るだけだ。しかしさすがに足が動かなかった。一昨年は往還道の石畳を70kmのランナーをも抜きながら駆け下りた記憶があるが、今回はさすがに左脚の変な痛みがあり、無理せずゆっくり下りた。転ぶことなく、ようやく天花畑に出た。もちろんこの場所でクニさんにアクシデントがあったことなど知る由もない。
　脚の痛みはどうしようもなく、一の坂ダムまで歩いた。ダムを過ぎてようやく少しずつ走れるようになり、天花橋を渡ってから徐々にペースを上げた。木町の角を右折、瑠璃光寺まで残り200mを一気に駆け上がる。とり正の大将がカメラを構え、その先にゼッケンをコールするジェイさんを見つけ、思わずバンザイをした。そして16：01：31、所要時間45時間51分31秒でゴールした。